カムイ型ハイブリッドロケット
CAMUI型ハイブリッドロケット
開発のはじまり
2004年に北海道宇宙技術科学創成センター(HASTIC)の縁でCAMUI型ハイブリッドロケットの開発に取り組む永田晴紀氏(現・北海道大学大学院工学研究科教授)と出会い、協力を申し出たことからロケット製作が始まりました。
ハイブリッドロケットとは?
複数の異なった要素(方式)を組み合わせたモノをハイブリッドと言います。
カムイ型ハイブリッドロケットは、「燃料」+「燃料を燃やす酸化剤」で異なる相の推進剤を使ったロケットエンジンを搭載しています。
CAMUI型とは?
「CAMUI」の名前はCascaded Multistage Impinging-jet(縦列多段衝突噴流)の頭文字をとってつけられました。燃焼ガスが固体燃料表面への衝突を順次繰り返す燃焼方式の事をCAMUI型といいます。
燃料はポリエチレン!
CAMUIロケットでは固体燃料にプラスチック(ポリエチレン)、酸化剤に液体酸素を使用し、発生した燃焼ガスを噴出する事で推力を得ています。
ポリエチレンは、例えばコンビニエンスストアのレジ袋などに使われている材料です。低コストで、危険物に伴う安全管理コストが一切かかりません。
さらに、万が一エンジンに不具合が起きた時でも燃焼を中断する事が可能で、飛び散った燃料が二次爆発を引き起こさず非常に安全なロケットにする事が出来ます。
(ポリエチレン固体燃料)
ポリエチレンが使われている身近なもの。
レジ袋
ペットボトルのキャップ
プラスチック製品
容器
効率よく燃焼する仕組み
北海道大学宇宙環境システム工学研究室の永田晴紀教授が考案した縦列多段衝突噴流方式により高い推力を得ています。この方式はポリエチレンの燃料ブロックに2つの穴があり、次の段のブロックと軸方向から見て位置を90度ずらしてあります。燃焼ガスがこの穴を通って次のブロックに衝突する事で、高い燃料後退速度を得ることが可能です。
打上げ試験
CAMUIロケット打上げ試験の多くは、北海道大樹町のご協力のもと
多目的航空公園の近くで行われています。
CAMUI500P(推力500キロ級)は2012年夏に海岸から打上げられ、
超音速域(マッハ1.4)での飛行、機体海上回収、テレメトリの動作実証試験を行い
全て達成することが出来ました。
今後もさらに打上げ試験を続け、気象観測、微小重力環境や
超音速飛行環境を提供できるよう開発が進められています。
また植松電機ではCAMUIロケット以外の
打上げ支援業務、企業PRのための商用打上げも行っています。
試験設備
北海道赤平市植松電機敷地内にあるロケットエンジン試験場では燃焼試験に必要な圧力、温度、推力といったデータを取得する事が出来ます。2014年9月には推力1.5トン級CAMUIロケットエンジンの地上試験を行いました。
この設備はCAMUIロケットだけではなく、研究機関や一般企業、大学などのハイブリッド・液体・固体ロケット研究チームも利用可能です。万が一実験機器の破損など予期せぬトラブルが発生しても、隣接している工場で修理することが可能なため、スケジュールの遅れを最小限にする事が出来ます。
また弊社敷地内には簡易的な宿泊できる設備も用意さていて、より実験に専念して頂けるようにしています。このように植松電機では各種ロケットエンジンの実験サポートも行っています。