研究紹介
VACUUM CHAMBER
多目的真空実験槽
宇宙空間に近い真空状態を
作り出すことができる実験装置
槽内の空気を抜いて宇宙環境に近い真空状態を作り出すことができる実験装置です。2006年に植松電機が製作に関わった超小型人工衛星の開発の中で、真空の宇宙空間でも正常に動作することを確認するために社内で製作しました。この装置により、特殊な宇宙用部品ではなく、一般に入手可能な材料や部品でも宇宙で正しく機能することを確認し、人工衛星の開発コストを大幅に削減することができました。
冷却・加熱・通信、
宇宙空間を想定した実験が可能
真空槽の大きさは、直径500mm × 奥行き400mm で到達真空度は1パスカル( 約10万分の1気圧、高度約80km相当)、0.0001 パスカル( 約10億分の1気圧、高度約200km 相当) の2段階です。
液体窒素を使用して真空槽内の実験体の冷却(-50℃程度まで)や、カーボンヒーターでの加熱(オプション)による熱試験も可能であり、槽内の実験体への電源供給やデータ系信号、制御系信号を接続する導入端子も装備しています。
可能な実験
・宇宙空間で発生する現象の再現実験(氷の昇華、音の伝達、熱の伝わりに関する実験など)
・成層圏バルーンやロケットなど、宇宙空間で使用する電子部品や制御機器の動作検証実験
・宇宙空間で使用する材料の検証実験
・超小型衛星や探査機等の真空環境実験
・宇宙用インフレータブル構造体の実験
・食品などの凍結真空乾燥に関する実験
・木材などの脱水や水没した書籍などの乾燥実験
・防水ケースのリークテスト
実験の動画
事例紹介
コズミックカレッジ
JAXA 宇宙教育実験センター
宇宙をテーマに科学の楽しさや不思議にふれる教育プログラム、「コズミックカレッジ」の一つとして真空実験槽を使った「宇宙食をつくろう」というプログラムを行いました。 軽量で加水調理に適し、保存性・栄養・食感の面でも優れているフリーズドライ、その調理・真空槽での乾燥・試食会を体験してもらいました。また、別の機会にはショートケーキと炭酸飲料の真空実験を行いました。
月面環境の真空再現走行試験
株式会社ダイモン
NASAの商業月輸送サービス選定企業の技術認証をクリアする実力を持つロボット・宇宙ベンチャー企業のダイモン社は世界最小最軽量な月面探査車「YAOKI」を開発、民間世界初の月面探査を目指しています。ダイモン社の依頼により、 植松電機は「真空走行実験装置」を開発し、「多目的真空実験槽」内での実証試験をサポートしました。
超小型人工衛星「HIT-SAT」
北海道大学/北海道工業大学/㈲AIDMA/植松電機
多目的真空実験槽を作るキッカケとなった北海道初の道産人工衛星「HIT-SAT」。その分離機構及び部品製作に関わる部分全般に関して当社が開発を担いました。多目的真空実験槽で真空状態を作り出し、宇宙環境で実際に正しく機能することを確認しました。
施設を使用した
企業・学校・団体
・(株) 岩谷技研
・(株) IHI エアロスペース
・ (株)ダイモン
・ 空知単板工業(株)
・ JAXA 宇宙教育センター
・北海道大学
・ 北海道科学大学
など